こんにちは。院長の伊藤です。
一雨ごとに季節の移り変わりを感じているところです。
皆さまはいかがお過ごしでしょうか。
さて今回は少し真面目で専門的なお話として、
「糖尿病と歯周病の深い関係」についてお話しします。
1. 糖尿病が歯周病を悪化させる理由
糖尿病のある方はそうでない方に比べ
歯周病にかかるリスクが約2倍になり、
進行も早いことが分かっています。
原因は主に次の通りです。
• お口の環境変化:
唾液の分泌量が減って自浄作用が落ちるため、
歯周病菌が増殖しやすくなります。
また、唾液中の糖分(グルコース)濃度が上がることも
菌の繁殖を招きます。
• 免疫力・修復力の低下:
高血糖が続くと細菌に対する抵抗力が弱まります(易感染性)。
さらに血管障害により歯ぐきの血流が悪くなり、
ダメージを受けた組織の修復も遅れてしまいます。
• 炎症の増幅:
体内の「AGEs(最終糖化産物)」が増えることで、
歯周炎が発症・悪化しやすくなります。
2. 歯周病が糖尿病を悪化させる理由
実は、歯周病は「糖尿病の第6の合併症」 とも呼ばれており、
逆に糖尿病を悪化させる原因にもなります。
歯周病の慢性的な炎症によって作られた物質
(TNF-αなど)が血管から全身をめぐると、
血糖値を下げるインスリンの働きを邪魔
(インスリン抵抗性)してしまいます。
また、歯周病で歯を失うと柔らかい食べ物
(炭水化物など)を好むようになり、
栄養バランスが崩れて血糖管理が乱れるという
悪循環にもつながります。
3. 歯周病治療がもたらす嬉しい効果
驚くことに、歯科医院で歯石除去(スケーリング)などの
適切な歯周病治療を行うと、
体内の炎症物質が減ってインスリンの効き目が改善します。
その結果、糖尿病の指標である「HbA1c」の数値が
0.4〜0.5%ほど改善(低下)するという報告があります。
これは糖尿病のお薬1剤分に匹敵する効果ともいわれており、
日本糖尿病学会のガイドラインでもその有効性が明記されています。
特に、「BMI25前後のやや肥満で、
重度の歯周病を合併した2型糖尿病患者さん」は、
治療の効果が出やすいと報告されています。
4. 一般的な歯周病治療と、その際の注意点
歯周病治療の基本は、
毎日の丁寧なブラッシングと
デンタルフロスによるセルフケアです。
歯科医院では、普段落とせない歯石の除去
(スケーリングやルートプレーニング)を行い、
重度の場合は状態に応じて歯周外科治療や再生療法が検討されます。
【糖尿病の方が歯科治療を受ける際の注意点】
• 受診時は必ず現在の血糖値やHbA1c、
服用中のお薬を歯科医にお伝えください。
• 血糖値が高い時期は感染リスクが上がるため、
抜歯などの時期を調整することがあります。
• 治療後に食事が取りにくくなる恐れがある場合は、
事前にかかりつけの医科の先生と
インスリン等の調整をご相談ください。
まとめ
糖尿病と歯周病は、
互いに悪化させ合う「双方向」の関係にあります。
だからこそ、医科と歯科が情報共有を行う「医科歯科連携」によって、
全身とお口を同時に管理していくことが重要です。
糖尿病のある方は、
3ヶ月に1度の定期的な歯科検診が強く推奨されています。
当院でもご相談をお受けしておりますので、
歯ぐきの出血や腫れ、口臭などが気になる方は、
お気軽にお声掛けください。
【参考文献】
国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター
日本歯科医師会
あいデンタルクリニック
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